マザリーズの重要性

「保育Lab」の「010「子どもの音感受の世界」その4・・・語りかけ歌いかけの大切さ」からの引用です。

コミュニケーション能力を発達させ、豊かな語彙を獲得して行くには、周囲からの適切な働きかけが不可欠です。そしてこの時、音声を介したコミュニケーションが、適切な働きかけの重要なツールとなっています。Sternら(1982)は、母親が乳児に対して語りかける場面に応じ、音調曲線を選択的に使い分けるのは、異なる音声には異なるコミュニケーション情報が含まれることを乳児に気づかせるためであると述べています。こうして母親や保育者と関わるなかで、私たちは赤ちゃんの頃から、声の表情から感情を読み取るとともに、自分の感情を音声に表現することを学習しているのです。

母親が赤ちゃんに対して語りかけるとき、高めの声でゆっくりと、抑揚をつけたり言葉を繰り返したりする、歌っているような独特の語り方をしますね。それをマザリーズ(育児語)と言います。マザリーズは母親だけでなく、父親や祖父母といった養育者に加え、乳児との接触未経験学生の子どものあやし行動の中でも出現する(中川・松村:2006)ことが明らかとなっているそうです。

また、母親と乳児との音声的なやりとりには、文化的な差異がほとんど見られず、驚くほど互いに似通っているそうです(Trehub: 2003)。
そのやりとりは、音程の幅が広く,反復型のリズムを持ち,音楽的であるとともに、はっきりとした感情と指示的な(知識を与える)内容を持っているようです。

しかし、その音声的なやり取りには、母語となる言語の特徴、リズムやイントネーションが含まれています。やがて乳児の月齢が上がるにつれ、喃語的なマザリーズに言語的な要素が加わっていきます。子どもは母親や養育者から受け取る音声的な情報から、母語とする言語の特徴を学んでいくのです。

赤ちゃんが話すまでに起きていること(赤ちゃん学へようこそ)」にも、次のようなことが書かれてあります。

少なくとも生後8カ月の赤ちゃんは、育児語のリズムパターンに注意を向けることも分かっています。大人は対乳児発話や育児語の使用を求められているわけではないのに、使ってしまいます。おそらく赤ちゃんという存在の“かわいさ”を感じた時に、こういう発話が引き出されるメカニズムが人間に備わっているのではないでしょうか。こうした相互関係が言語獲得を含めた発達に有利に働いているのではないかと考えています。(麦谷綾子・NTTコミュニケーション科学基礎研究所主任研究員)

 

 

 

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